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東京地方裁判所 昭和56年(行ウ)46号 判決 1982年10月05日

東京都小平町一の九七〇の一一

原告

内田和子

東京都東村山市本町一の二〇の二二

被告

東村山税務署長

宮澤義幸

右指定代理人

櫻井登美雄

中村正俊

金田哲夫

須藤勉

大原満

主文

一  本件訴訟は昭和五七年一月二六日の経過により訴えの取下げがあったものとみなされ終了した。

二  昭和五八年三月二日付けをもってなした原告の口頭弁論期日指定申立後の訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

原告の主張の要旨は、本件訴訟は昭和五七年一月二六日の経過により民事訴訟法二三八条によって訴えの取下げとみなされたものであるところ、原告が、昭和五六年一〇月六日の口頭弁論期日に出頭せず、また、同条所定の三か月内に期日指定の申立てをしなかったのは、当裁判所から同年九月二五日に被告の同月二一日付け準備書面副本とともに、同年一〇月二六日午前一〇時の口頭弁論期日呼出状の送書を受け、原告の次男内出正(二九歳)がこれを受領し、その後原告がこれを受取ったが、その際右呼出状が準備書面と一緒に同封されていたため、呼出状の存在に気づかず、いずれ当裁判所から呼出状の送達があるものと思い込んでいたことによるものであるから、本件訴訟は未だ終了していないので、訴訟手続の進行を求める、というにある。

よって按ずるに、本件記録によれば、原告は、当裁判所から昭和五六年九月二五日午前一一時三〇分に、同年一〇月二六日午前一〇時の口頭弁論期日の呼出状の送達を受け、同居者内田正(原告の二九歳の次男)を通じこれを適法に受領したにもかかわらず、右口頭弁論期日に出頭せず、また、右期日に出頭したが弁論をなさずに退廷したこと、その後原告から三か月の期間内に期日指定の申立てがなかったことが認められる。したがって、本件訴訟は、昭和五七年一月二六日の経過により訴えの取下げがあったものとみなされ、既に終了していることが明らかである。右口頭弁論期日呼出状が準備書面副本と同時に送達され、原告が呼出状を見落したとしても、呼出状が適法に送達されている以上、右の結論を左右することはできない。なお、原告主張の趣旨が、民事訴訟法一五九条の不変期間の追完をいうものであるとしても、同法二三八条所定の三か月の期間は不変期間ではないから、追完は許されないのであり、原告の主張はいずれにしても理由がない。

よって、本件訴訟は昭和五七年一月二六日の経過により訴えの取下げがあったものとみなされ、既に終了していることが明らかであるから、その旨の終局判決をするとともに、口頭弁論期日指定申立後に生じた訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 泉徳治 裁判官 大藤敏 裁判官 立石健二)

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